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精子寿命は本当に72時間?回数で変わる受精力

matsukawas

精子寿命と排卵の基本

妊娠確率は「精子の寿命」と「排卵のタイミング」の重なりで決まります。 精子が女性の体内で生き続ける期間と、卵子が受精できる短い時間帯をうまく合わせることが、妊娠への最短ルートです。この基礎を理解すると、「いつ精子提供(性行為を含む)をしてもらえばいいか」「何回くらい必要か」という疑問に、自分で答えを出せるようになります。

精子は射精後すぐに受精能力を失うわけではなく、女性の体内で数日間待機できます。一方、卵子は排卵後わずか12〜24時間しか受精できません。つまり、排卵の前から精子を体内に入れておくことで、卵子が排卵されたタイミングですぐ受精できる状態を作れます。排卵日当日に慌てて行動するより、排卵の数日前から複数回に分けて精子提供をしてもらう方が、妊娠の確率を高められるのです。

このセクションでは、精子と卵子の寿命、排卵から着床までの流れを具体的に見ていきます。医学的な根拠を押さえることで、「最適な精子提供頻度」の設計がぐっと理解しやすくなります。


精子の寿命はどれくらい?受精可能な期間を解説

精子は女性の体内で約5日間生存できます。 ただし、この寿命は環境によって大きく変わります。最も重要なのが頸管粘液(けいかんねんえき)の状態です。頸管粘液は子宮の入り口(子宮頸部)から分泌される液体で、排卵が近づくと量が増え、粘り気が減って精子が泳ぎやすくなります。この時期の頸管粘液は精子を保護し、栄養を与える役割も果たすため、精子は長く生き続けられます。

逆に、排卵から離れた時期や頸管粘液の状態が悪いと、精子は数時間〜1日程度で死んでしまうこともあります。つまり、排卵前の良好な頸管粘液がある環境でこそ、精子は数日間待機できます

この仕組みから、「受精可能な期間(fertile window)」という考え方が生まれました。一般的には排卵日の5日前から排卵日当日までの6日間が該当します。この期間に精子提供をしてもらえば、精子が体内で待機し、排卵のタイミングで卵子と出会える確率が高まります。

注意点: 精子の寿命は個人差や体調によっても変わります。喫煙、過度の飲酒、ストレス、肥満などは精子の質を下げ、寿命を短くする可能性があります。また、射精後の精子はすぐに受精能力を持つわけではなく、女性の体内で「受精能獲得(capacitation)」というプロセスを経て初めて卵子と結合できる状態になります。このプロセスには数時間かかるため、排卵の直前に精子提供をしても、精子が準備を整える時間が必要です。


卵子の寿命と排卵日の意味

 卵子は排卵後、約12〜24時間しか受精できません。 この短い時間帯が、妊娠の「勝負の時間」です。精子の寿命が数日あるのに対し、卵子の寿命は極めて短いため、排卵後に慌てて精子提供をしてもらうより、排卵前から精子を待機させておく方が圧倒的に有利です。

 排卵日を正確に予測できれば理想的ですが、実際には排卵日の予測はズレやすいのが現実です。生理周期が規則的な人でも、ストレス、体調変化、環境の変化などで排卵日が前後することがあります。また、排卵検査薬や基礎体温で予測する場合も、検査のタイミングや体温の測り方によって誤差が生じます。

  • 排卵検査薬: 排卵を引き起こすホルモン(LH)の上昇を検出しますが、陽性が出てから排卵まで12〜36時間の幅があります。
  • 基礎体温: 排卵後に体温が上がるため、体温上昇を確認した時点では既に排卵が終わっている可能性が高いです。
  • 生理周期: 28日周期の人は排卵日が14日目前後とされますが、実際には個人差が大きく、同じ人でも周期ごとに変動します。

 このような予測の不確実性を考えると、排卵日の数日前から複数回に分けて精子提供をしてもらうことで、排卵日のズレをカバーできます。排卵日当日に一度だけ精子提供をする「一発勝負」は、予測が外れるとその周期の妊娠チャンスを失うリスクが高いのです。


受精から着床までの流れ

 受精が成立しても、すぐに妊娠が確定するわけではありません。 受精卵(胚)が子宮内膜に着床して初めて妊娠が成立します。このプロセスには約1週間かかるため、「精子提供をしてもらった直後」や「排卵日の翌日」に妊娠判定をしても、結果は出ません。

受精から着床までの一般的な流れは以下の通りです:

  1. 受精(排卵日当日〜翌日): 精子と卵子が卵管で出会い、受精が成立します。
  2. 胚発育(受精後1〜3日): 受精卵は細胞分裂を繰り返しながら、卵管を通って子宮に向かいます。
  3. 子宮到達(受精後3〜5日): 胚が子宮腔に到達します。この段階では「胚盤胞」と呼ばれる状態になっています。
  4. 着床(受精後6〜12日): 胚が子宮内膜にもぐり込み、母体とつながります。この時点で妊娠ホルモン(hCG)の分泌が始まります。

妊娠判定が可能になるのは、着床後にhCGが十分に増えてからです。一般的には、**排卵日から約2週間後(次の生理予定日ごろ)**に市販の妊娠検査薬で判定できます。早期妊娠検査薬を使えば、排卵日から10〜12日後に判定できる場合もありますが、フライング検査は偽陰性(妊娠しているのに陰性と出る)のリスクがあります。

この流れを理解すると、以下の点が明確になります:

  • 精子提供の回数: 排卵前の数日間に複数回行うことで、受精のチャンスを増やせます。
  • 検査のタイミング: 排卵日から2週間後まで待つことで、正確な判定ができます。
  • 期待値の調整: 1回の精子提供で必ず妊娠するわけではなく、複数周期にわたって試すことが現実的です。

補足: 着床後も、すべての妊娠が継続するわけではありません。化学流産(着床後すぐに妊娠が終わる)や初期流産のリスクもあります。特に年齢が上がると、胚の染色体異常が増え、流産率も上昇します。このため、妊娠判定が陽性になった後も、医療機関で継続的なフォローを受けることが重要です。


このセクションのまとめ: 精子は約5日間生存でき、卵子は12〜24時間しか受精できません。排卵日の予測は完璧ではないため、排卵日の数日前から複数回に分けて精子提供をしてもらうことで、妊娠の確率を最大化できます。次のセクションでは、具体的に「いつ、何回」精子提供をしてもらうべきかを掘り下げていきます。

精子提供頻度:いつ頃から提供してもらうか?(排卵前3日が鍵)

 結論から言うと、予定排卵日の3日前から複数回に分けて精子提供を行う設計が、妊娠確率を最大化します。 なぜなら、精子は女性の体内で約5日間生存可能であり、排卵前に精子を待機させておくことで、排卵日予測のズレにも対応できるからです。

 排卵日の予測は完璧ではありません。排卵検査薬や基礎体温を使っても、実際の排卵が予測日の前後1〜2日ずれることは珍しくありません。そのため、「排卵日当日に一度だけ」という戦略では、タイミングを外すリスクが高くなります。一方、排卵前3日間から複数回に分散すれば、精子の寿命を活かしつつ、排卵のズレをカバーできます。

日本産科婦人科学会も、排卵日前の3日間に性交渉を持つことが妊娠の可能性を高めると指摘しています。このセクションでは、具体的にいつ・何回提供すべきか、提供間隔はどう調整すべきか、そして日別の妊娠確率データを基に、最適な頻度設計を解説します。

排卵日前の3日間にいつ精子提供をしてもらうべきか?

「予定排卵日の3日前〜前日」に分散して提供すると、精子寿命を活かしつつ排卵の誤差も吸収でき、最適な回数設計がしやすくなります。 具体的には、排卵日を0日として、**-3日(3日前)、-1日(前日)、0日(当日)**のように配置するのが基本です。

なぜこの配置が有効かというと、妊娠しやすい日(fertile window)は排卵日の5日前から排卵日当日までとされ、中でも排卵日前日と前々日が最も妊娠確率が高いことがわかっています。研究によれば、排卵日前日の性交渉による妊娠確率は約30%、前々日は約27%、排卵日当日は約20%程度とされます(複数の生殖医学研究のメタ分析より)。

排卵日予測の誤差幅は、一般的に**±1〜2日**です。排卵検査薬は排卵の24〜36時間前にLHサージ(黄体形成ホルモンの急上昇)を検出しますが、実際の排卵タイミングには個人差があります。そのため、検査薬陽性の前後に複数回提供することで、予測のズレに対応できます。

具体的なスケジュール例:

  • 排卵予定日-3日:最初の提供(精子を待機させる)
  • 排卵予定日-1日:2回目の提供(最も妊娠確率が高い日をカバー)
  • 排卵予定日当日(可能なら):3回目の提供(念押し)

このように分散することで、排卵が予定より1日早くても遅くても、fertile windowを取りこぼさずにカバーできます。

一日おきは本当にベストか?射精間隔と精子の質・寿命の関係

 一日おき(隔日)は「回数と精子の質」のバランスを取りやすい選択肢ですが、状況によっては連日・間引きが合理的なこともあり、最適な回数は固定ではありません。 射精間隔(禁欲期間)は精子の質に影響を与えるため、理解しておくことが重要です。

禁欲期間と精子の質の関係:

  • 1〜2日の禁欲:精子の運動率が最も高く、DNA断片化率も低い傾向
  • 3〜5日の禁欲:精液量は増えるが、運動率がやや低下することがある
  • 7日以上の禁欲:精子の運動率低下、DNA損傷のリスクが上昇

つまり、連日または隔日の射精は、精子の質を保つ上で有利です。一方、禁欲期間が長すぎると、精液量は増えても受精能力が落ちる可能性があります。

隔日(一日おき)のメリット:

  • 精子の質と量のバランスが良い
  • 身体的・精神的負担が少なく、継続しやすい
  • fertile windowの主要な日をカバーできる

連日のメリット・デメリット:

  • メリット:排卵検査薬陽性後などタイミングを逃したくない場合に有効
  • デメリット:身体的負担が増え、継続が難しくなることがある

実務的な判断基準:

  • 排卵検査薬が陽性になったら、翌日も連続で提供する
  • 通常は隔日を基本とし、余裕があれば追加する
  • 提供者の体調や生活リズムに無理のない範囲で調整する

最適な回数は、個人の状況(年齢、精子の質、生活環境)によって変わります。基本は隔日、必要に応じて連日を追加する柔軟な設計が現実的です。

排卵日前後の妊娠確率(性行為・精子提供のタイミング別)

排卵日前〜排卵日にかけて妊娠確率が高く、排卵後は急速に下がるため、排卵後一本勝負より「排卵前からの複数回」を優先した方が合理的です。 日別の妊娠確率データを見ると、この戦略の妥当性が明確になります。

日別の妊娠確率(排卵日を0日として):

タイミング妊娠確率(目安)
排卵日-5日約10%
排卵日-4日約16%
排卵日-3日約14%
排卵日-2日約27%
排卵日-1日約30%
排卵日当日約20%
排卵日+1日約5%以下

(複数の生殖医学研究のメタ分析に基づく目安)

このデータから、排卵日前日と前々日が最も妊娠確率が高いことがわかります。一方、排卵後(+1日以降)は妊娠確率が急激に低下します。

排卵後に確率が低下する生物学的理由: 卵子の寿命は排卵後約12〜24時間と非常に短く、この時間を過ぎると受精能力を失います。精子は最大5日間生存できるため、排卵前に待機させておく方が、排卵後に慌てて提供するより圧倒的に有利です。

実践的な教訓:

  • 「排卵日当日に一度だけ」はリスクが高い(予測がズレたら確率ゼロ)
  • 排卵日-3日、-1日、0日の複数回が、確率とリスク分散の両面で優れている
  • 排卵検査薬陽性後は、翌日・翌々日に追加提供することで確率を最大化できる

排卵前からの複数回戦略は、生物学的根拠と実務的な柔軟性を兼ね備えた、最も合理的なアプローチです。


このセクションのまとめ:
精子の寿命(約5日)を活かすには、予定排卵日の3日前から複数回(隔日中心)に分散して提供することが最適です。排卵日予測の誤差をカバーでき、妊娠確率の高い日(排卵日前日・前々日)を確実に押さえられます。次のセクションでは、年齢と妊娠確率の関係を詳しく見ていきます。

年齢と確率:30代の1回で妊娠する確率と平均何回目で妊娠か

 30代では1周期あたりの妊娠確率は20~30%程度で、「1回で妊娠する」ケースもありますが、複数周期かかるのが一般的です。年齢が上がるほど卵子の質が低下し、妊娠しにくくなるため、排卵日前3日間からの複数回精子提供を数周期続けることが現実的な設計になります。

「1回で妊娠できるか」という問いには、「性交1回あたり」と「1周期(複数回タイミングを取った場合)あたり」で確率が大きく異なる点を理解することが重要です。性交1回あたりの確率は数%程度ですが、排卵期に複数回タイミングを取ると周期あたり20~30%に上がります。

また、平均では数周期~1年程度で妊娠に至るケースが多く、累積妊娠率で考えると「数周期試して評価する」視点が必要です。日本産科婦人科学会では、35歳未満なら1年、35歳以上なら6か月妊娠しない場合は不妊症として検査・治療を検討する目安を示しています(出典: 日本産科婦人科学会)。

年齢による影響は主に**卵子の質(染色体異常リスク)**に表れ、男性側も年齢とともに精子の質が変化する可能性があります。回数設計だけでなく、生活習慣の改善や必要に応じた検査・医療介入を含めた総合的な最適化が、30代の妊活では重要になります。


30代の妊娠確率(1回で妊娠する確率)はどのくらいか

30代前半(30~34歳)では1周期あたりの妊娠確率は約20~25%、30代後半(35~39歳)では約15~20%程度とされています。ただし、この数字は**「排卵期に複数回タイミングを取った場合の1周期あたり」**の確率であり、性交1回あたりの確率ではありません

性交1回あたりの妊娠確率は、排卵日前日であっても約5~10%程度と推定されます。つまり、「1回だけ」で妊娠する確率は決して高くありません。しかし、排卵日前3日間に複数回(例:3回)タイミングを取ると、1周期全体での妊娠確率が20~25%程度に上がる仕組みです。

この違いを理解すると、「1回で妊娠できなかった」と落ち込む必要はなく、複数回の設計が標準であることが分かります。年齢階層別では、30代前半と後半で5~10%の差がありますが、どちらも「数周期続ける前提」で設計することが現実的です。

また、妊娠確率は排卵予測の精度、精子の質、卵管・子宮の状態など複数要因に左右されるため、平均値はあくまで目安です。自分の状況に合わせて回数・頻度を調整し、数周期様子を見ることが大切です。


何回目で妊娠するのが平均?(累積妊娠率の考え方)

 平均では3~6周期程度で妊娠に至るケースが多いとされていますが、個人差が大きく、1周期目で妊娠する人もいれば、1年以上かかる人もいます。重要なのは累積妊娠率の考え方です。1周期あたりの妊娠確率が20%なら、6周期続けた場合の累積妊娠率は約70~80%程度に達します(単純な確率の積み上げではなく、毎回の失敗を考慮した計算)。

日本産科婦人科学会のガイドラインでは、**35歳未満なら1年間(約12周期)、35歳以上なら6か月間(約6周期)**妊娠しない場合を不妊症の目安としています。これは、その期間内に自然妊娠する確率が一定以上あり、それを超えたら検査・治療を検討すべきという判断基準です。

累積妊娠率の視点を持つと、**「1回でダメだった」ではなく「数周期試して評価する」**ことが現実的だと分かります。また、タイミングの最適化(排卵日前3日間からの複数回設計)を行うと、1周期あたりの妊娠確率が上がり、結果的に平均周期数が短くなる効果が期待できます。

ただし、年齢が高いほど累積妊娠率の上昇が緩やかになるため、35歳以上では早めに医療機関を受診し、検査や治療の選択肢を検討することが推奨されます。


年齢で変わる精子・卵子の能力(受精・着床への影響)

 年齢による妊娠率の低下は、主に女性の卵子の質(染色体異常リスク)に起因します。卵子は胎児期に作られ、年齢とともに老化するため、35歳を過ぎると染色体異常(特にダウン症候群などのトリソミー)のリスクが急増します。例えば、30歳では染色体異常率が約15%ですが、40歳では約40%に達するとされています。

染色体異常のある胚は着床しにくく、着床しても流産しやすいため、年齢が上がるほど「妊娠しにくい」「流産率が上がる」という結果につながります。これが、30代後半以降で妊娠確率が低下する主な理由です。

 一方、男性側も年齢とともに精子の質が変化する可能性があります。精液量や精子の運動率が低下し、DNA断片化(精子のDNA損傷)が増えるという研究報告があります。ただし、女性の年齢ほど顕著ではなく、高齢男性でも妊娠・出産は可能です。それでも、禁煙・節酒・適度な運動など、精子の質を保つ生活習慣は重要です。

 回数設計だけでなく、生活習慣の改善(栄養、運動、ストレス管理)、必要に応じた検査(ホルモン検査、精液検査、卵管検査)、医療介入(タイミング指導、人工授精、体外受精)を含めた総合的な最適化が、30代の妊活では不可欠です。特に35歳以上では、早めに専門医に相談し、自分に合った戦略を立てることが、妊娠への近道になります。

妊娠したいときの実践的な精子提供スケジュールと最適な回数(性行為も含む)

排卵日を正確に予測できる人は少ないため、「予定排卵日の3日前から複数回」という設計が最も現実的です。精子は女性の体内で約5日間生存できるため、排卵前に精子を待機させておけば、排卵のタイミングが多少ズレても受精のチャンスを逃しません。

具体的には、排卵予測手段(排卵検査薬・基礎体温・頸管粘液の観察)を組み合わせて予定排卵日を推定し、その3日前から隔日を中心に精子提供(性行為を含む)を行うことで、妊娠しやすい期間(fertile window)を確実にカバーできます。排卵検査薬は排卵の24~36時間前にLHサージ(黄体形成ホルモンの急上昇)を検出しますが、排卵日そのものは特定できないため、検査薬陽性後も複数回の提供が有効です(出典: 日本産科婦人科学会)。

このセクションでは、排卵予測の不確実性を前提に、回数・タイミング・手法(性行為/シリンジ法)を組み合わせた実践的なスケジュールを解説します。「何回・いつ・どのように」提供すれば妊娠確率を最大化できるか、具体例とともに整理します。


排卵日前後のベストな精子提供の回数と具体的スケジュール(何回、いつ)

基本設計は「予定排卵日-3日、-1日、当日(可能なら)」の2(3)回です。この配分により、排卵日が1~2日ズレても fertile window(排卵日前3日~排卵日)をカバーでき、妊娠確率を高く維持できます。

具体的なスケジュール例

予定排卵日を0日とした場合提供タイミング理由
-3日1回目精子を早めに待機させ、排卵が早まった場合に対応
-1日2回目排卵日前日は妊娠確率が最も高い(約30%)
0日(当日)3回目(可能なら)排卵が遅れた場合の保険

排卵検査薬を併用する場合、陽性反応が出た日を「-1日」と見なし、その前後に提供すると効率的です。ただし検査薬は排卵の24~36時間前を示すため、陽性後も1~2回の追加提供が推奨されます(出典: 日本産科婦人科学会)。

排卵日がズレた場合のカバーする力

  • 排卵が1日早まった場合: -3日の提供で精子が待機中のため、受精可能
  • 排卵が1日遅れた場合: 0日(当日)の提供でカバー可能

このように、隔日を軸に2(3)回以上の提供を設計することで、排卵予測の誤差を吸収しつつ、精子の質と負担のバランスを取れます。


一回で妊娠確率を上げる精子提供のテクニック(準備・タイミング・環境)

回数を増やすだけでなく、1回あたりの精子の質とタイミング精度を高めることで、妊娠確率を底上げできます。以下の要素を最適化しましょう。

1. 排卵予測の精度を上げる

  • 排卵検査薬: LHサージを検出し、排卵の24~36時間前を予測。朝一番の尿ではなく、午後の尿で測定すると精度が上がります
  • 基礎体温: 低温期から高温期への移行日が排卵日の目安。ただし排卵後に体温が上がるため、予測には限界があります
  • 頸管粘液の観察: 排卵が近づくと、透明で伸びる粘液(卵白状)が増えます。この時期が fertile window のサインです

2. 禁欲期間の調整

禁欲期間は2~3日が目安です。長すぎると精子のDNA断片化(遺伝情報の損傷)が進み、運動率も低下します。逆に毎日射精すると精子濃度が下がる可能性がありますが、隔日であれば質と量のバランスが取れます。

3. 体調管理と生活習慣

  • 避けるべきもの: 喫煙(精子の運動率低下)、過度の飲酒(精子形成への悪影響)、高温環境(サウナ・長風呂は精巣温度を上げ、精子の質を下げる)
  • 推奨: バランスの良い食事(亜鉛・ビタミンC・E)、適度な運動、十分な睡眠

これらのテクニックを組み合わせることで、同じ回数でも妊娠確率を数%引き上げることが可能です。


シリンジ法を使うときの期待値の上げ方

シリンジ法は、性行為の負担を減らしつつ回数を確保できる手法です。排卵前からの複数回戦略と相性が良く、タイミング法の補助として活用されています。

シリンジ法の手順(基本)

  1. 射精: 清潔な容器に精液を採取
  2. 吸引: 専用シリンジ(針なし)で精液を吸い上げる
  3. 注入: 膣内の奥(子宮頸部付近)にゆっくり注入
  4. 安静: 注入後、30分程度横になり、精液が流れ出ないようにする

衛生管理が重要で、シリンジや容器は使い捨てのものを使用してください。

期待値を上げるポイント

  • 排卵日前から複数回: シリンジ法でも「-3日、-1日、(0日)」の2(3)回実施が基本
  • 注入後の姿勢: 腰を高くして30分安静にすると、精液が子宮頸部に届きやすくなります

シリンジ法は回数確保の手段として有効ですが、過信せず、数周期試しても妊娠しない場合は医療機関での検査・人工授精への移行を検討しましょう。


このセクションのまとめ: 排卵日を確定できない前提では、予定排卵日-3日から隔日中心で2(3)回以上の精子提供が最適です。排卵予測手段を組み合わせ、1回あたりの質を高めるテクニック(禁欲期間・体調管理)を実践し、必要に応じてシリンジ法で回数を補完することで、妊娠確率を最大化できます。次のセクションでは、これらの知見を統合し、最適な精子提供頻度の結論をまとめます。

精子寿命から導く最適な精子提供頻度の結論(最適な回数のまとめ)

結論として、精子の寿命を最大限に活かすには「予定排卵日の3日前から複数日に分けた精子提供」が最適な回数設計になります。精子は女性の体内で約5日間生存可能であり、排卵後の卵子は12~24時間しか受精できません。この生物学的特性から、排卵前に精子を待機させておく戦略が合理的です。

排卵日予測には必ず誤差があります。基礎体温や排卵検査薬を使っても、実際の排卵日が1~2日ズレることは珍しくありません。そのため、予定排卵日の3日前から隔日(1日おき)を軸に、状況に応じて連日を追加する設計が、排卵のズレにも対応できます。

この記事で解説した「精子寿命」「卵子寿命」「排卵ズレのリスク」「射精間隔と精子の質」を統合すると、最適な回数は「2~3回/周期」が目安です。ただし、一定期間試しても妊娠しない場合は、タイミングだけでなく他の要因も点検する必要があります。このセクションでは、最適な回数設計の結論と、うまくいかないときの見直しポイントをまとめます。


結論:予定排卵日の3日前から複数回(隔日中心+可能なら追加)が合理的

排卵日前のカバーを厚くし、隔日を軸に状況次第で連日を追加することが、精子の寿命と質のバランス上、妊娠につながりやすい設計です。

なぜ隔日中心が選ばれるのか

隔日(1日おき)は、精子の質と回数のバランスが取りやすいためです。禁欲期間が2~3日程度になると、精液量・精子濃度・運動率が安定し、DNA断片化(精子の遺伝情報の損傷)も抑えられます。連日だと精液量が減り、間隔を空けすぎると運動率が低下する傾向があるため、隔日が「中庸」として推奨されます。

実務的にも、隔日なら身体的・精神的負担が軽く、複数周期にわたって継続しやすいメリットがあります。性行為やシリンジ法を「義務」と感じてストレスになると、かえって妊娠しにくくなる可能性も指摘されています。

連日追加が有効な条件

以下の場合は、隔日に連日を追加することで妊娠確率を上げられます。

  • 排卵検査薬が陽性になった翌日:LHサージ(排卵を促すホルモンの急上昇)検出から約24~36時間後に排卵するため、陽性翌日に追加すると排卵直前をカバーできます
  • 頸管粘液が増えた日:透明で伸びる粘液(排卵期のサイン)が確認できた日は、精子が子宮に到達しやすい環境です
  • 提供可能回数に余裕がある場合:精子提供者の協力が得られ、身体的負担が問題ない場合は、予定排卵日当日にも追加すると安心です

逆に、連日が不要な条件は、すでに予定排卵日の3日前・1日前に隔日で実施済みで、排卵検査薬が陰性のままの場合です。排卵が遅れている可能性があるため、無理に連日にせず、次の陽性を待つ方が効率的です。


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2021年よりほそぼそと精子提供を実施しています。これまでのノウハウなどを言語化して精子提供に関わる判断について、提供する人・受ける人の双方に有益な情報を発信してリスクを最小限に取れるように情報発信しています。
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